2013年05月26日
賛同人募集!「福島第一の原発作業員の待遇改善を要求しよう」
時給837円未満、数日間の被曝量計100ミリシーベルト―劣化し続ける福島原発の労働環境と静観する日本政府・東電/ルモンド紙(5月21日)
The Asia-Pacific Journal, Volume 11, Issue 16 No. 1, April 22, 2013.
An appeal for improving labour conditions of Fukushima Daiichi workers 賛同人募集!「福島第一の原発作業員の待遇改善を要求しよう」
要請文の送り先;
内閣総理大臣 安部晋三殿
厚生労働大臣 田村憲久殿
東京電力取締役会長 下河辺和彦殿
東京電力取締役社長 広瀬直己殿
福島第一の原発作業員の待遇改善を要求しよう
東電福島第一の事故収束作業に従事する作業員の待遇が事故当初より賃金も下がり、宿舎などの条件も悪くなっている。 これについては『報道するラジオ』3月15日放送分の“報道するラジオが伝える原発事故2年の真実”(以下“報ラジと略)と雑誌『世界』4月号の原発作業員3人による座談会“いまイチエフはどうなっているか”(“世界座談”と略)、及び布施裕仁氏によるルポ“イチエフいまだ収束せず”(“世界ルポと略)の中で詳しく報道されているが、以下にその要点をまとめながら、問題点や意見も加えていきたい。
三つの報道が共通して指摘しているこの待遇改悪の原因は東電がコスト削減を理由に作業の発注を入札制にしたためだ。 仕事を取りたい元請会社が同じ仕事を今までより安く落札し、その皺寄せが8次受け、9次受けも珍しくないという下請け業者の末端の作業員の待遇改悪となって現れているのだ。 例えば、事故当時と同じ仕事をしているのに作業員の員数が半分に減らされたり(報ラジ)、以前はいわき市の旅館を借り上げて、作業員を住まわせ、そこから現場までバスで送迎していたのを止め、原発に近い広野町という所にプレハブを建てたり、空家になっている民家を借りて住まわせ、旅館の時には付いていた食事も自腹で自炊、お風呂の支度なども自分たちでしなければならず、送迎も無しになっていると言う(報ラジ)。
広野町は緊急時避難準備区域であったのが今年になって解除されたばかりで、元々の住民はまだ殆ど帰って来ていない所で、いわき市に比べて線量もずっと高いという。 考えても貰いたい。 一日、高線量の所で激しい労働をして、帰って来ても、温かいねぎらいの言葉もなく、火の気も無い家に入り、元々の住民が殆ど戻っていないような所で、まともな食材を買ったり、料理したりすることができるのだろうか? 風呂や食事の支度をするより寝た方が良いなどという日はないのだろうか? こんなところでコストの削減をするのは、作業員の健康管理などに何の心使いも無いことを端的に示している。 日当についても、事故前から福島第一で仕事して来たベテラン作業員さえ事故当初に比べ2千円下がって、危険手当も付いていないと言う証言や、末端の作業員の中には日当8千円という人も珍しくないという証言もある(『世界』ルポ)。 それどころか、報ラジでは東電が下請け作業員に対して行った最近のアンケートから、時給837円(東京都の最低賃金)を下回る人が5%いるという驚くべき 結果を挙げている。
このアンケートは東電が下請け作業員の就労実態を把握するために定期的に行っているそうだが、東電が直接行っているのではない。 元請を通し下請け業者毎にまとめて配られ、その時、元請から『変なこと書かないでね』と釘をさされたり(『世界』ルポ)、下請け業者に因っては、その社長の前で作業員が記入したり、記入する答えを指定されることもある(報ラジ)という。 正確な就労実態が反映されているとは到底思えないが、そのアンケートからさえ、自分が仕事している所が元請から数えて5次請負以上という人が9%、自分に日当を支給している会社と現場で作業の指示をしている会社が違う偽装請負が15%、その日の自分の放射線の線量が分からないという人が15%もいたと言う(報ラジ)。 偽装請負と線量を知らされていないのは明らかに労基法違反である。
このアンケートが正しい方法で獲られていれば一体どんな実態が現れていたのだろうか。 日当が下がっていることや危険手当が付いていない人が多いことに対して、雑誌『世界』が東電に問い合わせたところ、東電本社広報部は“作業環境や条件を考慮した工事費で契約しているが、あくまで元請けと契約しているので、下請けがどのように作業員に支払っているかは把握していないし、契約関係にない会社に口出しすることは出来ない”と説明した(世界ルポ)。 そして、アンケートに出てきた色々な問題については“発注者の立場から元請に対して下請け会社が作業員に適正な賃金、手当てを支給し、法律上必要とされる保護を行うよう要請する”と回答している(世界ルポ)。
しかし、このアンケートは初めて取られたものではない。今までも定期的に取られてきたのだ。事故後2年たった今も問題は改善されていないどころか悪くなっている。 作業員は東電の引き起こした事故を処理するためにここで被曝しながら作業しているのです。 その作業員の健康を守り、適正な条件で働いてもらうようにするのは東電の義務ではないのか。 また、明らかな労基法違反があることがアンケートに出ているのに厚生労働省は何をしているのか。
事故当初からの現場の仕事の流れを知悉している熟練作業員が線量限界に達して、現場を去り、代わりに原発での仕事経験がない人が増えているという問題も深刻だ。 “高線量の現場では新人に仕事を教えている間にも被曝するから、教えている時間がない。 線量限界に達した熟練者を放置しないで、被曝線量のカウントがリセットされる5年後まで、新人の教育や火力発電所などで仕事を保証し、人材を確保してほしい。 そうすれば5年後にまた福島第一の現場に戻る時まで技術を維持できる”(世界座談)という現場の作業員ならではの提言もある。
線量限界に達した人をまた5年後に現場に戻すには忍びない気もするが、その5年の間にしっかりと健康診断などをしてもらうということは出来ると思う。 とにかく、福島第一の事故は収束などには程遠く、これから何十年も続く作業だ。 被曝しながら作業してくれる人達がいるからこそ、辛うじて現状を維持しているのだ。 ここがこれから大きな事故もなく、少しずつでも収束に向かって進めるかどうかは日本だけでなく、この地球に住むもの全てに関わる問題だと思う。 海も空も続いているのだから。
したがって、そこで働く作業員に心身ともに安定した環境を整え、地球環境のこれ以上の悪化を自分たちが食い止めているという誇りを持って仕事できるよう支えるのは私たち一人一人が負うべき義務だと思う。 作業員の発信に真摯に耳を傾け、東京電力と日本政府が責任を持って、作業員一人一人の賃金と生活環境を改善するまで監視し、要求を送り続けましょう。
長谷川澄 退職マギル大学専任講師 、モントリオール、カナダ
The Asia-Pacific Journal, Volume 11, Issue 16 No. 1, April 22, 2013.
An appeal for improving labour conditions of Fukushima Daiichi workers 賛同人募集!「福島第一の原発作業員の待遇改善を要求しよう」
要請文の送り先;
内閣総理大臣 安部晋三殿
厚生労働大臣 田村憲久殿
東京電力取締役会長 下河辺和彦殿
東京電力取締役社長 広瀬直己殿
福島第一の原発作業員の待遇改善を要求しよう
東電福島第一の事故収束作業に従事する作業員の待遇が事故当初より賃金も下がり、宿舎などの条件も悪くなっている。 これについては『報道するラジオ』3月15日放送分の“報道するラジオが伝える原発事故2年の真実”(以下“報ラジと略)と雑誌『世界』4月号の原発作業員3人による座談会“いまイチエフはどうなっているか”(“世界座談”と略)、及び布施裕仁氏によるルポ“イチエフいまだ収束せず”(“世界ルポと略)の中で詳しく報道されているが、以下にその要点をまとめながら、問題点や意見も加えていきたい。
三つの報道が共通して指摘しているこの待遇改悪の原因は東電がコスト削減を理由に作業の発注を入札制にしたためだ。 仕事を取りたい元請会社が同じ仕事を今までより安く落札し、その皺寄せが8次受け、9次受けも珍しくないという下請け業者の末端の作業員の待遇改悪となって現れているのだ。 例えば、事故当時と同じ仕事をしているのに作業員の員数が半分に減らされたり(報ラジ)、以前はいわき市の旅館を借り上げて、作業員を住まわせ、そこから現場までバスで送迎していたのを止め、原発に近い広野町という所にプレハブを建てたり、空家になっている民家を借りて住まわせ、旅館の時には付いていた食事も自腹で自炊、お風呂の支度なども自分たちでしなければならず、送迎も無しになっていると言う(報ラジ)。
広野町は緊急時避難準備区域であったのが今年になって解除されたばかりで、元々の住民はまだ殆ど帰って来ていない所で、いわき市に比べて線量もずっと高いという。 考えても貰いたい。 一日、高線量の所で激しい労働をして、帰って来ても、温かいねぎらいの言葉もなく、火の気も無い家に入り、元々の住民が殆ど戻っていないような所で、まともな食材を買ったり、料理したりすることができるのだろうか? 風呂や食事の支度をするより寝た方が良いなどという日はないのだろうか? こんなところでコストの削減をするのは、作業員の健康管理などに何の心使いも無いことを端的に示している。 日当についても、事故前から福島第一で仕事して来たベテラン作業員さえ事故当初に比べ2千円下がって、危険手当も付いていないと言う証言や、末端の作業員の中には日当8千円という人も珍しくないという証言もある(『世界』ルポ)。 それどころか、報ラジでは東電が下請け作業員に対して行った最近のアンケートから、時給837円(東京都の最低賃金)を下回る人が5%いるという驚くべき 結果を挙げている。
このアンケートは東電が下請け作業員の就労実態を把握するために定期的に行っているそうだが、東電が直接行っているのではない。 元請を通し下請け業者毎にまとめて配られ、その時、元請から『変なこと書かないでね』と釘をさされたり(『世界』ルポ)、下請け業者に因っては、その社長の前で作業員が記入したり、記入する答えを指定されることもある(報ラジ)という。 正確な就労実態が反映されているとは到底思えないが、そのアンケートからさえ、自分が仕事している所が元請から数えて5次請負以上という人が9%、自分に日当を支給している会社と現場で作業の指示をしている会社が違う偽装請負が15%、その日の自分の放射線の線量が分からないという人が15%もいたと言う(報ラジ)。 偽装請負と線量を知らされていないのは明らかに労基法違反である。
このアンケートが正しい方法で獲られていれば一体どんな実態が現れていたのだろうか。 日当が下がっていることや危険手当が付いていない人が多いことに対して、雑誌『世界』が東電に問い合わせたところ、東電本社広報部は“作業環境や条件を考慮した工事費で契約しているが、あくまで元請けと契約しているので、下請けがどのように作業員に支払っているかは把握していないし、契約関係にない会社に口出しすることは出来ない”と説明した(世界ルポ)。 そして、アンケートに出てきた色々な問題については“発注者の立場から元請に対して下請け会社が作業員に適正な賃金、手当てを支給し、法律上必要とされる保護を行うよう要請する”と回答している(世界ルポ)。
しかし、このアンケートは初めて取られたものではない。今までも定期的に取られてきたのだ。事故後2年たった今も問題は改善されていないどころか悪くなっている。 作業員は東電の引き起こした事故を処理するためにここで被曝しながら作業しているのです。 その作業員の健康を守り、適正な条件で働いてもらうようにするのは東電の義務ではないのか。 また、明らかな労基法違反があることがアンケートに出ているのに厚生労働省は何をしているのか。
事故当初からの現場の仕事の流れを知悉している熟練作業員が線量限界に達して、現場を去り、代わりに原発での仕事経験がない人が増えているという問題も深刻だ。 “高線量の現場では新人に仕事を教えている間にも被曝するから、教えている時間がない。 線量限界に達した熟練者を放置しないで、被曝線量のカウントがリセットされる5年後まで、新人の教育や火力発電所などで仕事を保証し、人材を確保してほしい。 そうすれば5年後にまた福島第一の現場に戻る時まで技術を維持できる”(世界座談)という現場の作業員ならではの提言もある。
線量限界に達した人をまた5年後に現場に戻すには忍びない気もするが、その5年の間にしっかりと健康診断などをしてもらうということは出来ると思う。 とにかく、福島第一の事故は収束などには程遠く、これから何十年も続く作業だ。 被曝しながら作業してくれる人達がいるからこそ、辛うじて現状を維持しているのだ。 ここがこれから大きな事故もなく、少しずつでも収束に向かって進めるかどうかは日本だけでなく、この地球に住むもの全てに関わる問題だと思う。 海も空も続いているのだから。
したがって、そこで働く作業員に心身ともに安定した環境を整え、地球環境のこれ以上の悪化を自分たちが食い止めているという誇りを持って仕事できるよう支えるのは私たち一人一人が負うべき義務だと思う。 作業員の発信に真摯に耳を傾け、東京電力と日本政府が責任を持って、作業員一人一人の賃金と生活環境を改善するまで監視し、要求を送り続けましょう。
長谷川澄 退職マギル大学専任講師 、モントリオール、カナダ
第158回! 天文館街宣!7/31(金)午後6時~7時川内原発再稼働阻止!!
九電への規制勧告のための追加説明書
福島事故と原発再稼働(原稿) 槌田敦 15.1.12
岩井哲のパブコメ文
鹿児島県知事:「国の意思を文書で」…川内再稼働で要求
詭弁とウソ
九電への規制勧告のための追加説明書
福島事故と原発再稼働(原稿) 槌田敦 15.1.12
岩井哲のパブコメ文
鹿児島県知事:「国の意思を文書で」…川内再稼働で要求
詭弁とウソ
Posted by 代表:岩井哲 at 19:10│Comments(0)
│脱原発資料・発言