2013年12月03日
12月3日の記事
「特定秘密保護法案」を廃案に! 鹿児島県民のアピール
2013年11月27日
「特定秘密保護法案」が11月26日、衆議院特別委員会で強行採決されたのち、同日の衆議院本会議に緊急上程されて、「自公み」などの賛成多数で可決されました。事前に実施されたパブリックコメントでは法案反対が77%の多数に上り、国会審議によって国民の批判、懸念が高まろうとする中での強行採決でした。国民の論議が全く不十分なまま採決を急ぐ姿は全く異常で、極めて危険です。法が成立してしまうならば、市民の知る権利にフタをかぶせ、「見ざる・言わざる・聞かざる」の萎縮した社会をもたらしかねません。この法案は、日本の民主主義を大きく歪める危険性をはらんでいるのです。
私たちは強く訴えます。特定秘密保護法案を廃案に!
■国民の「知る権利」を踏みにじる秘密保護法
「特定秘密」は、防衛・外交などの4分野で、行政機関の長が指定するとなっています。国民に大きな影響をもたらす重要で広範な情報について、「何が秘密か」を行政が一方的に決めることが可能です。いったん「秘密指定」されれば「なぜそれが秘密か」ということそのものが「秘密」となってしまいます。
その漏洩に対して懲役10年以下の厳罰でもって禁止するだけでなく、特定秘密保有者の管理を害する行為により取得した場合も同様の処罰の対象となります。
このような仕組みが導入されると、特定秘密を業務上取り扱う公務員や民間の契約業者の職員は罰則を恐れて萎縮し、「もの言わぬが花」という社会が生み出されるでしょう。
秘密を取り扱う者に対する「適性評価制度」の導入も盛り込まれています。評価対象者の家族関係や犯罪歴、病歴、経済的状態、国籍などを詳細に調査しようとするもので、個人のプライバシーを広範囲に侵害し、不当な選別、人種差別を助長し、内部告発の抑止にもつながりかねません。
さらに「秘密」の漏洩や取得についての共謀・教唆・扇動も処罰されることによって、市民の調査活動やジャーナリストの取材活動そのものが厳しく制限されます。法案には「報道又は取材の自由に十分配慮しなければならない」との規定も書かれていますが(22条)、これは単なる配慮義務に過ぎず、かえって法案がもつ危険性を表しています。
また、国会議員の調査活動や議院の国政調査権なども制限を受ける可能性が高く、国民主権の原理はますます形骸化されてしまいかねません。現に法案では、秘密の委員会や調査会に特定秘密が提供された場合、それを知りえた議員も漏洩等の処罰対象とされているからです。
こうした制約により、市民の知る権利が大幅に制約されることは明らかです。「国家が取得・保持する情報は、国民のものである」という基本原理が踏みにじられます。
■平和主義を破壊する「秘密保護法」
「特定秘密保護法案」は米軍と一体となって軍事力を実際に行使する「戦争のできる国」づくりと関連しています。
この法案と並んで「国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案」が審議され、既に参院に送付されています。内閣の中に首相を中心とした「4大臣会合」を設置し、外交・防衛に関する情報を集中して、迅速な判断を下す体制をつくろうというものです。日本版NSC設置は、「戦後レジームからの脱却」を掲げた第一次安倍政権が実現しようとして果たせなかった「戦争のできる国」の司令塔づくりに他なりません。
「日本版NSC設置法案」と「特定秘密保護法案」のその先に姿を現すのは、「集団的自衛権の行使」容認であり、日本国憲法第9条の改悪に他なりません。「集団的自衛権を行使する」ためには、米軍から軍事情報を入手しなければならず、その情報を迅速に判断する司令塔が不可欠であり、さらに提供される軍事情報について「米国と統一的な秘密保全法制を求められている」のです。
■「特定秘密保護法案」を廃案に
安倍政権は、法成立に向けて、異常な前のめり姿勢を示しています。みんなの党、日本維新の会との修正協議に多大なエネルギーを費やしましたが、「行政の長が指定することが可能」で「何が秘密かを検証することができない」うえに「厳罰で臨む」という法案の危険な本質は全く変わっていません。それどころか、秘密指定を原則60年とするなど、政府原案に比べ後退した修正がなされ、秘密指定の妥当性を検証する第三者機関についても付則で触れるにとどまっています。
日本国憲法が掲げる国民主権の原理は、主権者である国民の意思に基づいて国政の在り方が決定される政治の在り方を指します。これが十分に機能するには、一人ひとりの国民が国政情報に十分にアクセスでき、その提供を受けられ、自由な表現・報道活動が行われ、これらによって主権者の意思が形成されることが前提です。「特定秘密保護法案」は主権者としての国民の意思形成に不可欠な「知る権利」が侵害されることになります。
また日本国憲法は、戦争の放棄と戦力の不保持、平和的生存権を定める平和主義を宣言しています。広範な防衛秘密保護の法制化は憲法の平和主義に反し、許されないものです。むしろ、防衛や安全保障に関する情報であっても、秘密を強めるのではなく、公開を広げることこそが現代民主国家の要請のはずです。「特定秘密保護法案」の強行採決によって、私たちが、先のアジア・太平洋戦争の反省から掲げ続けてきた「日本は戦争にくみしない、戦争をしない」という覚悟を込めた平和主義が、根本から変えられようとしています。私たちは、米軍と一体になった軍事力行使に踏み込もうとする、このような法案を認めることはできません。
「特定秘密保護法案」を廃案にするよう、強く訴えます。
以上
賛同者
杉原 洋(元南日本新聞記者)
小栗 実(鹿児島大学教員)
岩井 哲(かごしま反原発連合有志・代表)
2013年11月27日
「特定秘密保護法案」が11月26日、衆議院特別委員会で強行採決されたのち、同日の衆議院本会議に緊急上程されて、「自公み」などの賛成多数で可決されました。事前に実施されたパブリックコメントでは法案反対が77%の多数に上り、国会審議によって国民の批判、懸念が高まろうとする中での強行採決でした。国民の論議が全く不十分なまま採決を急ぐ姿は全く異常で、極めて危険です。法が成立してしまうならば、市民の知る権利にフタをかぶせ、「見ざる・言わざる・聞かざる」の萎縮した社会をもたらしかねません。この法案は、日本の民主主義を大きく歪める危険性をはらんでいるのです。
私たちは強く訴えます。特定秘密保護法案を廃案に!
■国民の「知る権利」を踏みにじる秘密保護法
「特定秘密」は、防衛・外交などの4分野で、行政機関の長が指定するとなっています。国民に大きな影響をもたらす重要で広範な情報について、「何が秘密か」を行政が一方的に決めることが可能です。いったん「秘密指定」されれば「なぜそれが秘密か」ということそのものが「秘密」となってしまいます。
その漏洩に対して懲役10年以下の厳罰でもって禁止するだけでなく、特定秘密保有者の管理を害する行為により取得した場合も同様の処罰の対象となります。
このような仕組みが導入されると、特定秘密を業務上取り扱う公務員や民間の契約業者の職員は罰則を恐れて萎縮し、「もの言わぬが花」という社会が生み出されるでしょう。
秘密を取り扱う者に対する「適性評価制度」の導入も盛り込まれています。評価対象者の家族関係や犯罪歴、病歴、経済的状態、国籍などを詳細に調査しようとするもので、個人のプライバシーを広範囲に侵害し、不当な選別、人種差別を助長し、内部告発の抑止にもつながりかねません。
さらに「秘密」の漏洩や取得についての共謀・教唆・扇動も処罰されることによって、市民の調査活動やジャーナリストの取材活動そのものが厳しく制限されます。法案には「報道又は取材の自由に十分配慮しなければならない」との規定も書かれていますが(22条)、これは単なる配慮義務に過ぎず、かえって法案がもつ危険性を表しています。
また、国会議員の調査活動や議院の国政調査権なども制限を受ける可能性が高く、国民主権の原理はますます形骸化されてしまいかねません。現に法案では、秘密の委員会や調査会に特定秘密が提供された場合、それを知りえた議員も漏洩等の処罰対象とされているからです。
こうした制約により、市民の知る権利が大幅に制約されることは明らかです。「国家が取得・保持する情報は、国民のものである」という基本原理が踏みにじられます。
■平和主義を破壊する「秘密保護法」
「特定秘密保護法案」は米軍と一体となって軍事力を実際に行使する「戦争のできる国」づくりと関連しています。
この法案と並んで「国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案」が審議され、既に参院に送付されています。内閣の中に首相を中心とした「4大臣会合」を設置し、外交・防衛に関する情報を集中して、迅速な判断を下す体制をつくろうというものです。日本版NSC設置は、「戦後レジームからの脱却」を掲げた第一次安倍政権が実現しようとして果たせなかった「戦争のできる国」の司令塔づくりに他なりません。
「日本版NSC設置法案」と「特定秘密保護法案」のその先に姿を現すのは、「集団的自衛権の行使」容認であり、日本国憲法第9条の改悪に他なりません。「集団的自衛権を行使する」ためには、米軍から軍事情報を入手しなければならず、その情報を迅速に判断する司令塔が不可欠であり、さらに提供される軍事情報について「米国と統一的な秘密保全法制を求められている」のです。
■「特定秘密保護法案」を廃案に
安倍政権は、法成立に向けて、異常な前のめり姿勢を示しています。みんなの党、日本維新の会との修正協議に多大なエネルギーを費やしましたが、「行政の長が指定することが可能」で「何が秘密かを検証することができない」うえに「厳罰で臨む」という法案の危険な本質は全く変わっていません。それどころか、秘密指定を原則60年とするなど、政府原案に比べ後退した修正がなされ、秘密指定の妥当性を検証する第三者機関についても付則で触れるにとどまっています。
日本国憲法が掲げる国民主権の原理は、主権者である国民の意思に基づいて国政の在り方が決定される政治の在り方を指します。これが十分に機能するには、一人ひとりの国民が国政情報に十分にアクセスでき、その提供を受けられ、自由な表現・報道活動が行われ、これらによって主権者の意思が形成されることが前提です。「特定秘密保護法案」は主権者としての国民の意思形成に不可欠な「知る権利」が侵害されることになります。
また日本国憲法は、戦争の放棄と戦力の不保持、平和的生存権を定める平和主義を宣言しています。広範な防衛秘密保護の法制化は憲法の平和主義に反し、許されないものです。むしろ、防衛や安全保障に関する情報であっても、秘密を強めるのではなく、公開を広げることこそが現代民主国家の要請のはずです。「特定秘密保護法案」の強行採決によって、私たちが、先のアジア・太平洋戦争の反省から掲げ続けてきた「日本は戦争にくみしない、戦争をしない」という覚悟を込めた平和主義が、根本から変えられようとしています。私たちは、米軍と一体になった軍事力行使に踏み込もうとする、このような法案を認めることはできません。
「特定秘密保護法案」を廃案にするよう、強く訴えます。
以上
賛同者
杉原 洋(元南日本新聞記者)
小栗 実(鹿児島大学教員)
岩井 哲(かごしま反原発連合有志・代表)
Posted by 代表:岩井哲 at 23:52│Comments(0)