原発事故、立件見送り視野 東電幹部ら「大津波想定せず」

代表:岩井哲

2013年05月06日 17:57

原発事故、立件見送り視野 東電幹部ら「大津波想定せず」産経新聞 5月6日(月)7時55分配信

 東京電力福島第1原発事故をめぐり、当時の東電幹部らが業務上過失致死傷罪などで告訴・告発された問題で、複数の同社幹部らが検察当局の任意の事情聴取に「実際に大津波が起きることは想定しておらず、事故は予見できなかった」などと、過失を否定する趣旨の説明をしていることが5日、関係者への取材で分かった。

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 これまでの捜査で過失を裏付ける明確な証拠はなく、検察当局は対象者の立件見送りを視野に入れている。刑事処分は早ければ夏にも行う見通しだ。

 告訴・告発の大半は過失罪で「事故が起きる可能性を予見できたか」「事故を回避できる可能性があったか」の2点が重視される。

 関係者によると、検察当局の聴取に当時の東電幹部らは、津波対策の必要性について認識がなかったことを証言。事前の試算で15メートル超の津波が襲うことも想定されていたが、「あくまで試算で、実際に起きるとは考えていなかった」とし、事故は予見できていなかったとの見方を示した。

 事前の津波対策を担当した同原発の吉田昌郎・元所長の聴取書も押収したが、ここでも大津波による事故を予見していたとは認定できなかったという。

 原発事故をめぐって、検察当局は昨年8月以降、応援検事を東京、福島両地検に投入。東電幹部のほか実務担当者や被災者の遺族からも事情を聴いた。一方、事故当時に政権中枢にいた政治家の事情聴取は行っておらず、今後実施の可否を検討するとみられる。

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